フリッカージャブ -相手の死角から打つパンチ-

フリッカージャブと言えば、かつてボクシングにおいて史上初の5階級制覇を成し遂げたトーマス・ハーンズ氏が得意としていたパンチである。

だが、日本国内においては、トーマス・ハーンズ氏以上に、少年漫画「はじめの一歩」に登場したことによって、有名になったパンチとも言える。

では、フリッカージャブとはどのようなパンチなのかはご存じだろうか?

ここでは右利きのオーソドックススタイルの選手を例にするが、通常、ジャブを打つ際には左拳は、ボクシングの場合なら顎の位置、キックボクシングの場合ならこめかみの位置に置くことになる。

それに対して、フリッカージャブの場合には左拳のを自分の顎よりも下に位置し、相手の顎に対して腕全体をしならせて、下から鞭のようにスナップを効かせて打つパンチである。

通常のパンチは真っすぐ来るのに対して、フリッカージャブは視線の下から飛んでくる。つまり、相手の死角から打つパンチになる。

つまり、通常のジャブとはもはや別物と言ってもいいだろう。

しかし、当然ながら、フリッカージャブばかりを行っていては、相手がフリッカージャブに慣れてしまうため、通常のジャブも織り交ぜてパンチを繰り出すことが有効である。




こう書くと、フリッカージャブがもの凄く有効なパンチだと思われがちだが、実はこのパンチは相当な実力がある人でなければ使いこなすことはできない。

というのも、一番の欠点としては、左のガードががら空きになるからだ。

そのため、左顎のガードがない状態で戦う場合には、相手のパンチを正確に避けるためのディフェンス能力が必要である。

さらに、キックボクシングの場合には右のハイキックが飛んできた場合にガードできないという非常に大きな欠点があることから、相当スウェーが得意でなければ、あまりフリッカージャブを行うことは推奨できない。

ようは、ディフェンスに絶対の自信を持っている人以外は使ってはいけないパンチなのだ。

また、フリッカージャブを打つ場合には、自分が相手よりもリーチが長くなければ、あまり使いこなすことはできないだろう。

なぜならば、通常のジャブとフリッカージャブを同時に打った場合、どう考えても最短距離で放つ通常のジャブの方が早いからである。

ということは、相手のジャブが当たらない距離から打たなければならないため、そもそもリーチが短いと言われている日本人にはあまり向いていないパンチなのだ。

なお、このフリッカージャブは基本の打ち方ではないため、どうしても行いたい場合には、まずは通常のジャブをしっかりと練習し、基礎がしっかりとできてから取り組んでいただきたい。