キックボクサーのパンチが下手くそと言われることの真実

キックボクサーのパンチは下手くそだと巷では言われれていますが、本当にキックボクサーはパンチが下手くそなのでしょうか?

たしかに、毎日パンチだけの練習をしているボクサーと比較したならば、それはボクサーの方がパンチのテクニックが優れているに決まっています。

でも、だからと言って、キックボクサーも毎日パンチの練習をしているのですから、普通に考えればパンチが下手になるわけがありません。

では、どうしてキックボクサーのパンチが下手くそだと言われるのかご存じでしょうか?

それは、そもそもボクシングとキックボクシングはパンチの打ち方が違うためであり、競技の性質上そう見えてしまうだけなのです。

どういうことかというと、ボクシングの構え方は蹴られることを想定していないため、前足に重心を乗せて後ろ足の踵を浮かし、前傾姿勢になります。

この構え方は間合いが近い場合には抜群の効果を発揮するものの、距離が遠くなってしまった場合には相手の攻撃に対処できない構えでもあります。

実際、ボクシングの距離は非常に近く、お互いに頭がぶつかり合うくらいの距離で打ちあうことも珍しくありません。

そのような近距離での戦いだからこその前傾姿勢の構え方であり、ボクシングのパンチは連打を意識してコンパクトに打つことが大半です。

ですが、キックボクシングの場合は「キック」が放たれる距離での戦いであるため、前傾姿勢でいた場合にはキックをカットすることができませんし、そもそもガードすることも難しいのが現実となります。




そのため、キックボクシングの構え方は前足と後ろ足の両方に均等に重心が乗るように構え、あまり前傾姿勢になりません。

また、パンチを打つ際にも、相手はキックが届く距離にいるため、遠くに対して打つように心がける必要があります。

だからこそ、キックボクシングのパンチの打ち方はあまりコンパクトではなく、遠くに投げ出すような打ち方が多いのです。

そして、キックにつなげるためのパンチなども存在するため、そのような打ち方を普段からボクシングに慣れ親しんでいる人が見た場合には、下手くそな打ち方に見えるのは当然のことでしょう。

これは、どちらの打ち方が優れているとか、そういう次元の低いことではなく、どちらもそのルールに適応した打ち方をしているのです。

だからこそ、キックボクシングのリングでボクシングのパンチがそのまま使えるわけではありませんし、逆にキックボクシングのパンチはボクシングのリングの中では全くの無力でしょう。

よく、まだキックボクシングのテクニックそのものを習得していない段階からボクシングジムに通ってパンチを練習しようとしている人もいますが、まずはキックボクシングのパンチを習得した上でなければ全くの無駄だと私は考えています。

おそらく、初心者のうちからこのようなことをしていては、どちらのパンチも中途半端で終わってしまう事が大半でしょう。

魔裟斗選手がボクシングジムに通っていたことは有名な話ですが、彼はキックボクシングのテクニックを極めた超一流の選手だからこそ、ボクシングのテクニックをキックボクシングに活かすことができたのです。

もしもボクシングのテクニックを取り入れたいと思った場合には、自身のレベルをしっかりと把握した上で行う必要があるでしょう。