首相撲 -ムエタイが立ち技最強と呼ばれる所以-

キックボクシングがムエタイに敗退する場合、まず間違いなく原因の大半は首相撲のテクニックにある。

首相撲とは、文字通り相手の首をつかみ、さらに相手の体制を崩すことによって、次の攻撃につなげるためのテクニックである。

キックボクシングやムエタイの試合では、相手の首をつかむことは反則ではないため、このようなつかみのテクニックが存在する。

そして、ムエタイの本場であるタイでは、練習の大半はこの首相撲を行っている。なぜなら、ムエタイの試合では首相撲のポイントはパンチのポイントよりも大きいからだ。

そのため、日本人はパンチやキックなどをまんべんなく練習しているため、首相撲の練習がどうしてもタイ人に比べて少なくなってしまうため、タイ人の組み合ったらまず間違いなく勝つことはできない。

タイ人に一度組まれてしまったら、何もすることができず、おそらく子ども扱いされるだけだろう。

それくらい日本人とタイ人の首相撲のテクニックの差は激しいのである。




だが、日本では試合が判定になった場合には、パンチの採点がやや優勢となることや、K-1ルールのように、相手をつかむことが反則となるルールも存在するため、どうしても首相撲ばかりを練習するというわけにはいかない。

だからこそ、日本人がタイ人と戦う場合には、決して組まれるようなことがあってはならないのだ。

しかし、どうしても距離が近くなった場合には首をつかまれてしまうため、首相撲に完全に付き合わないということは困難であろう。

遠い間合いからのキックで相手を突き放し、距離が近くなったら首相撲に持ち込むというムエタイの必勝パターンは立ち技格闘技において非常に有効なテクニックであり、ムエタイが立ち技最強と言われる所以はこの首相撲にあると言っても過言ではない。

前置きが長くなったが、首相撲の解説をしたいと思う。

まず、相手の首をつかむ際、自分の両肘を相手の鎖骨あたりに当て、両手を相手の首の後ろに回し、後頭部を両手を重ねて押さえる体勢になる。

その際には必ず自分の脇を締め、両肘をくっつけるくらいの意識でいると良い。

相手の鎖骨の部分にくっつけている両肘を前に突き出すようにしながら、相手の後頭部に重ねている両手を自分の方へ引き付けることにより、テコの原理を使うようになるため、あまり力を入れなくても相手の頭を下げることができる。

もしも相手の頭がなかなか下がらないようなら、それは組み方に問題があるため、スムーズにできるようになるまで何度も練習をしなければならない。

相手の頭を下げることができたら、自分の踵を浮かせ、つま先立ちになることにより、相手に自分の体重を乗せるようにする。これによって、相手は頭を上げにくくなる。

そのまま踵を浮かせた状態から、相手の首をひねりつつ、片足を相手の外側に移動させ、反対側の足を後ろに円を回すようにして移動させ、体捌きによって相手の体勢を崩す。

この動作は素早く行わなければ、相手の体勢が崩れることはないので、何度も練習をして崩しをマスターしてもらいたい。

相手の体勢が崩れたら、そのまま後ろに回した足にて膝蹴りを行う。膝蹴りは前に突き出すように行うとダメージが大きい。

もしも膝蹴りを避けられ、相手が首相撲の状態から逃れたとしても、その際の距離が近いようなら肘打ちにもつなげることも有効だ。

ここでは文字ばかりのために、いまいちわかりにくい表現もあったかもしれないが、何度も反復練習をして首相撲が使いこなせるようになってほしい。

ちなみに、通常のキックボクシングのルールではアマチュアの試合でも首相撲は認められている。

さらに、キックボクシングのプロになる場合には、プロテストに首相撲の項目があるため、キックボクシングで大成したいなら首相撲の取得は必須である。

余談だが、アマチュアの試合の場合、首相撲が苦手な選手も多くエントリーしているため、首相撲ができるというだけで有利になることもあるだろう。