えびす講で食べる食べ物といえば?
旧暦の10月である神無月の行事の一つとして挙げられるのが「えびす講」です。
八百万の神様が出雲に行っている間に守ってくれる恵比寿さまに感謝の意を伝える「えびす講」ですが、特定の食べ物などはあるのでしょうか?
えびす講の食べ物は?
まず、恵比寿さまを祀る行事が「えびす講」ですが、恵比寿さまについて詳しく知らないという方もいるでしょう。
そこで恵比寿さまについて簡単にご紹介します。
恵比寿さまは何の神様?
恵比寿さまは七福神の1人として有名ですよね。
1つの船に神様が7人乗っている絵が有名ですが、恵比寿さまはその中でも烏帽子をかぶって片手に鯛を、もう片手に小袋を携えた神様のことです。
ふくよかなイメージで、優しそうなお顔をされていますよね。
そんな恵比寿さま、何の神様なのかというと、五穀豊穣、商売繁盛、豊漁の神様です。
すごく縁起がいい神様ですよね。
いてくれるだけで利益がどんどん来てくれそうな感じです。
では、なぜそんな恵比寿さまを祀る「えびす講」というのがあるのでしょうか?
恵比寿さまを祀る行事があるなら、大黒天や毘沙門天があってもいいような気がしますよね?
実はえびす講の由来には「神無月」が関係しています。
神無月とは全国各地のさまざまな神様が、神の総本山とも言える出雲に赴く時期です。
そんな時期に1人だけ留守番をさせられている神様がいました。
それが恵比寿さまです。
なぜ、恵比寿さまが出雲に行けず、留守番をされているかというと、神が不在の地を守るためです。
流石に全国から神様が1人もいなくなったら、土地は大変なことになってしまいます。
それを防ぐため、恵比寿さまだけが残り、土地を守ることとなったのです。
そんな恵比寿さまを慰めるとともに、守ってくれている感謝を伝えるために行われるのが「えびす講」です。
このようなことから「えびす講」は全国的に存在する行事なのです。
お供物として用意する食べ物は?
では、えびす講は神様に感謝を伝える行事なので、お供物も必要ですよね。
どんな食べ物をお供物として用意するのかというと、定番は尾頭付の鯛です。
「めでたい」などの意味合いもありますが、尾頭付というのはありのままの姿で、そのまま自然から受けた恵みを表しています。
恵比寿さまは豊漁・豊穣の神様ですから、いただいた自然をそのままお供えしますという意味合いも込めて、尾頭付で用意するようです。
他にも豊穣の神ということで、旬の野菜や果物などもお供えします。
そして、やはりあるがままの形で、葉付き大根や果物もそのままお供えするのが一般的ですが、地域によっては調理してからお供えするというところもあります。
行事食は特にない?
では、えびす講では特定の行事食はないのでしょうか?
例えば節分なら恵方巻き、ひな祭りならちらし寿司や蛤のお吸い物など、ある程度、その日に食べる食べ物が決まっていますよね?
えびす講の日には何か食べ物が決まっているのかというと、特にありません。
ですから御供物の他に特別な食べ物を用意する必要は特にないのです。
ただ、お供物としてお赤飯やなますを用意する地域では、お供物と一緒にお赤飯やなます、魚料理を食べるなどといった風習が根付いているところもあります。
また、えびす講が行われる時期はちょうど新米の時期ということもあり、美味しい新米を食べたり、豊穣ということで採れたて野菜をたっぷり使ったけんちん汁などを食べるところもあります。
さらにめでたい席ということもあり、どぶろくや日本酒などのお酒をお供えするところもあるようです。
ただ、豊穣・豊漁を祝う行事ですから、その時期の旬の物をたっぷり使った料理を食べるといいのではないでしょうか。
東京ではべったら漬け?京都では笹に小判?
ただ、えびす講のおかげで有名になった食べ物があります。
その一つが「べったら漬け」です。
べったら漬けとは大根の甘い漬物のことなんですが、今では全国的に有名な漬物ですが、これが全国的に広まったのはえびす講が一役買っています。
東京日本橋に宝田神社がありますが、毎年10月になると「えびす講」の準備のためにべったら市という例祭が行われるようになりました。
その際に売り出し、人気が出た食べ物が「べったら漬」です。
江戸時代中期から始まった伝統的な食べ物で、えびす講のおかげで生まれたといっても過言ではないでしょう。
今ではべったら漬けで有名になったせいか、「べったら市」という名で開催されています。
そして行事食はないと言いましたが、京都ではえびす講の食べ物として「笹に小判」が有名です。
初めて聞く人は「笹に小判」と言われても何のことかわからないでしょう。
まるで「猫に小判」みたいね名前ですよね。
でも実は食べ物の名前なんです。
京都特産の九条ネギとはんぺんを使った汁物のことで、えびす講の縁起物である福笹に見立てた食べ物です。
福笹とは笹飾りで、雪風に負けずに真っ直ぐに伸びる笹から、「商売や農業・漁で何かあってもうまくいくように」という願いが込められた縁起物です。
京都の人はえびす講でお参りの後に、笹に小判を食べることで縁起を担ぐようにしているそうです。
確かにお供物として飾るだけでなく、体の中に取り入れた方が縁起担ぎに効果がありそうな気がしますからね。
えびす講で食べる食べ物といえば?まとめ
えびす講は行事食はないものの、尾頭付の鯛といったお供物として定番化している食べ物や、べったら漬けなど、えびす講のおかげで有名になった食べ物などもあります。
地域によってお供物や食べ物も違うので、「郷に入っては郷に従え」ということで、各地に引っ越しなどしたらご家族や隣近所に聞いて、恵比寿さまを祀ってみてはいかがでしょうか?
恵比寿さまに感謝するとともに、その時期の美味しい魚や果物など旬のものを食べるのもいいでしょう。