えびす講の意味や由来とは?
日本には七福神という神様方がおり、七福神巡りなども有名ですよね。
そんな神様の1人、恵比寿さまにちなんだ季節行事が「えびす講」です。
えびす講とは?意味や由来は?
えびす講は七福神の1人、恵比寿さまにちなんだ行事です。
でも、恵比寿さまっていうと鯛や小袋を担いだ神様というのは、なんとなく絵的にイメージできるのですが、具体的にどんな神様かわからない方もいるでしょう。
そこで、まずは恵比寿さまについてご紹介します。
恵比寿さまとはどんな神様?
実は恵比寿さまは七福神の中で唯一、日本の神様です。
昔から七福神は有名なので、ついつい全員日本の神様のようなイメージがありますが、実はほとんどが外国の神様なのです。
大黒天はインドのヒンドゥー教由来の豊穣の神様、毘沙門天もヒンドゥー教由来の神様で、福徳や財宝の神様と言われています。
さらに、唯一の女性の神様・弁財天もヒンドゥー教由来で、芸術・音楽・学問などの神様とされています。
福禄寿は中国の道教由来で、幸福や富貴、長寿の神と言われ、寿老人も道教由来で健康・福徳・長寿の神とされています。
そして布袋さまは実在の人物で、中国の禅僧で、良縁・夫婦円満・子宝の神と言われています。
このように、七福神とは多国籍の神様の集まりなのです。
では、恵比寿さまはどんな神様なのかというと、日本神話に出て来るイザナギノミコトとイザナミノミコトが最初に生んだ蛭子神と言われています。
今では商売繁盛の神とされていますが、元々は漁民の神で、海運守護や豊漁といったご利益がありました。
だから手に鯛を持っているんですね!やっと鯛を持っている意味がわかりました。
では、そんな海の神様がなぜ商売繁盛の神になったのかというと、豊漁は商家にとっては商売繁盛、農民にとっては豊穣ということで、さまざまな繁栄をもたらす神となったようです。
そして、えびす講はそんな恵比寿さまを祀る行事です。
恵比寿さまのお祭りという意味を込めてえびす講というようです。
「講」というのは、宗教行事を行う結社のことを指し、行事や会合のことも「講」といいます。
つまり恵比寿さまを祀る行事なので「えびす講」というようです。
このことから考えると、お祭りというよりも、違う意味合いが込められているような気もしますよね。
では、具体的にいつごろどこで行われるのでしょうか?
えびす講の時期は?
えびす講は全国的に行われるのお祭りです。
もしかしたら恵比寿さまが元は漁民の神でしたが、商売繁盛や豊穣の神など、色々な利益をもたらす神と言われるようになったことから、全国的に広がったのかもしれませんね。
そして地域が違えば、えびす講が行われる時期も違います。
主に関西では1月10日に行われることを意味して、「十日戎(とうかえびす)」と言われています。
一方、関東では1月20日、10月20日に行われることを意味して、「二十日戎(はつかえびす)」と言われています。
では、なぜえびす講が行われるようになったのかというと、その由来は「神無月」にあるようです。
神無月というと、「神様がいない月」、いわゆる旧暦の10月のことを意味しているのですが、えびす講はこの神無月と深い関係があるようです。
恵比寿さまと神無月の関係とは?
元々、神無月というのは旧暦の10月のことを指します。
なぜ神無月というのかというと、全国各地の神がいなくなる月を意味しているからです。
日本は全国各地に色々な神様がいます。そんな神様の総本山とも言えるのが出雲大社です。
例えば会社などでも月に一度、もしくは年に一度、重役が集まったりしますよね。
そんな感じで、神様も年に一度集まる時期があります。
それが旧暦の10月なのです。
この時期にはどの地域の神様も一斉に出雲に集結します。
そのことを意味して神無月と言われるようになったのです。
そして出雲に神が集結することから、出雲の地域では他とは違い、旧暦の10月のことを「神有月」と言います。
それこそ、神様がたくさんいる月という意味です。
そんな神無月がえびす講の由来に大きく関係しているようです。
恵比寿さまも神様なので、神無月には出雲に行ってしまうとイメージしがちですが、実は恵比寿さまは神無月になっても出雲に行くことはありません。
というのも、本当に全国各地の神様が全員、出雲に行ってしまっては大変なことになるということで、恵比寿さまが1人残って、他の神様の代わりをしているというのです。
そんな恵比寿さまに感謝の意味を込めて行われるようになったのが「えびす講」です。
つまり、えびす講とは留守番をしてくれている恵比寿さまに感謝を伝えるために行われたことが由来だったようですね。
こんな由来があったなんて面白いですね。
日本は地元の神様だけでなく、他の神様にも感謝を伝える風習があるんですね。
そして感謝を伝えるために行う行事だからこそ、えびす「祭」ではなく、えびす「講」というのかもしれませんね。
おそらく地元の神様を祀る行事は「祭り」とつくのでしょうが、恵比寿さまの場合は地元の神様ではないところも多いでしょう。
だからこそ、わざわざ神無月に来てくれた神様をおもてなししようと「講」をおこなっているのではないでしょうか。
それにしても、なぜ、恵比寿さまだけが出雲に行かないのかは疑問ですね。
もしかして、豊漁、商売繁盛、豊穣など色々な恵みをもたらす神だからこそ、各地の神の代わりを務められる神で、他の神様から任されたのかもしれませんね。
もしくは神話の時代からいる神様だからこそ、全国への影響力も強く、各地を任されているのかもしれませんんね。
そして、神無月に由来を持つ行事だからこそ、えびす講を旧暦の10月20日を新暦に当てはめて行う地域もあります。
えびす講の意味や由来は?まとめ
えびす講の発祥は神無月に由来をもち、神様が不在になっても、恵比寿さまが残って守ってくれることから、恵比寿さまに感謝を伝える意味を込めて行われるようになったお祭りです。
地域によって時期も違うようなので、転勤や旅行などで各地に行ったときはその土地のえびす講を楽しんでみてはいかがでしょうか。