見る・観る・視るの違いとは?使い分けは?
日本語には同じような意味で同じ読み方をする言葉がありますよね。
その一つが「見る」です。
「みる」は「見る」意外にも「観る」、「視る」もありますよね。
パソコンなどで変換するときについつい間違えそうになりますが、これらの意味は違うのでしょうか?
意味がわかれば、使いわけも楽になるかもしれませんよね。
見る・観る・視るの違いとは?意味が違う?
まず、「見る」、「観る」、「視る」の違いを知るために、一つずつ意味を調べてみましょう。
全て何かを「みる」意味合いで使われますが、厳密には意味や使う対象が違います。
「見る」
「見る」とは、目で対象を捉えることを指します。
ここでいう「目」というのは肉眼はもちろん、心の目も指します。
そのため、「彼女の思っていることが手に取るように見える」などというときも「見る」を使います。
つまり、物理的でも精神的でも目で捉えることを「見る」というのです。
そして、一般的に「見る」は「観る」や「視る」、さらに「看る」の代わりとしても使えます。
そのため、もし、どの「見る」かわからない時は「見る」にするといい場合もあります。
ちなみに診察行為の「診る」の代わりには使用できないので注意してください。
そんな「見る」の類義語は「聞く」、「知る」、「眺める」があります。「見る」が対象を目で捉えるのに対し、「聞く」は耳で情報を捉え、「知る」は知識から情報を得ること、「眺める」は全体を見ることを意味しています。
「観る」
では次に「観る」という言葉について意味をご紹介します。
「観る」の「観」は「観覧する」や「観劇」などに使われる感じですよね。
つまり、「観る」とは客観的にじっくりと見ることを意味しています。
表現方法としては「映画を観る」、「サッカーの試合を観る」などがあります。
「見る」でも間違いではないのですが、「観る」の方が集中してじっくり観察するという意味合いがあります。
そのため、「観覧席」や「サッカー観戦」などに「観る」という漢字が使われているようです。
そしてそんな「観る」の類義語が、「観賞する」です。
「観賞する」には対象をじっくりとみて、その美しさや趣を楽しむ意味合いがあります。
他にも「観覧」という見物を意味する言葉や、「外観」という見た目を意味する言葉もあります。
「視る」
次にご紹介するのが「視る」です。
「視る」の「視」は「視力」にも使われている漢字で、「見る」と同様に対象を捉えるようなイメージがありますよね。
ただ、厳密にはちょっと違うようです。
「視察」や「凝視」、「注視」でも使われるように、「視る」には、ただ見るだけでなく、物事や事象を「詳細に捉える」意味合いがあります。
例えば「事故現場を視る」、「建設予定地を視る」など、ただ視るだけではなく、その状況をしっかり確認しなければいけないような場合の「視る」に使われるようです。
ただ、「視」という漢字は「無視」や「視界」など「詳細に捉える」意味合いが弱い場合でも使われるため、間違いやすいようです。
「視る」の場合は「見る」でも代用できるので、もしどちらかわからないという場合があれば「見る」を使うといいでしょう。
「見る」でも間違いではないので、気軽に使ってみてくださいね。
では「視る」の類義語はというと、「視力」、「視界」、「直視」があります。
「視力」は目で見てしっかりと把握する力、「視界」とは目で見える範囲、「直視」とは目を背けずにまっすぐ見つめることを意味しています。
見る・観る・視るの例文紹介
では、「見る」、「観る」、「視る」の違いを知るために例文も見てみましょう。
例文を見ると意味の違いが分かりやすくなります。
「見る」の例文
・花火を見るために、早めに家を出た。
・彼女は男を見る目がない。
・海外旅行に来てみたら、見るもの全てが斬新で面白い。
・経過を見ることにしようと、お医者さんに言われた。
・お目当ての劇を見ることができたので、嬉しい。
このように「見る」は色々な「見る」に使えます。
物理的な「花火」を見ることにはもちろん、精神的な「男を見る目」にも使われます。
さらに「劇を見る」というと「観る」なのではないかと思われがちですが、「劇を見る」こと自体がじっくり観ることを意味しているので、「見る」で間違いないのです。
「観る」の例文
・大事なバスケの試合を観る予定だ。
・アニメ映画を観る。
・オリンピックで陸上競技を観るため、チケット取りを頑張った。
・美しい景色を観ながら食事ができるなんて嬉しい。
このように「観る」は「観賞する」意味合いで使われることが多くあります。
そのため、自分が熱中しているものを見るときや、どこかにわざわざ見に行く場合などに使います。
もし、使い間違いそうになった場合は「見る」でも代用できます。
「視る」の例文
・暗がりの中をじっと視る。
・被災地の状況を視る必要がある。
・AIは分析しながら視ることに長けている。
・これから景気が回復すると視る専門家もいる。
このように「視る」は調査や検査を必要とする場合に使われることが多くあります。
ただ、「視る」は常用漢字ではないため、使われないことも多く、「見る」と表記することが多くあります。
そのため、わざわざ使う必要がないとも言えます。
ただ、「見る」の表記でも使えるので、わからない場合は「見る」を使うようにするといいでしょう。
見る・観る・視るの違いとは?使い分けは?まとめ
「見る」・「観る」・「視る」は厳密に言えば意味が違います。
でも「見る」は幅広い意味で使うことができるため、どの「見る」に対しても使えます。
逆に「視る」は常用漢字でないため、使う頻度も少ないので、一般的に「みる」は「見る」と覚えておいていいようです。
ちなみに「見る」で表記してはいけない漢字が一つあります。
それは「診察」の際に使われる「診る」です。
これだけは「見る」で代用ができないので、気をつけてください。