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「をば」の意味は?古文だけでなく、現代文でも使える?その使い方は?

をば

「をば」の意味は?古文だけでなく、現代文でも使える?その使い方は?

「~をば」というのは古文のような雰囲気のある言い方ですよね。

その通り、有名な古文でよく使われていた言葉です。

そのため昔しか使わないようなイメージがありますが、実は現代文でも使えるようです。

どのような意味でどんな時に使うのでしょうか、使い方も気になりますよね。

あい
そこで、「をば」の意味や使い方はどうなのか、使われていた古文や現代文と合わせて見ていきましょう。

「をば」の意味は?古文だけでなく現代文でも使える?

をばの意味

まずは「をば」の意味から見ていきましょう。

そもそも「をば」はどういう使い方がされているのか、例文で挙げてみます。

現代文での簡単な使い方を挙げると、

・失礼をばいたします。

は、よく聞く言葉ですよね。

なんとなく古臭いような感じではありますが、このように現代文においても使用されることがあります。

では、この文においての「をば」の意味はというと、現代文の「~を」と同じです。

格助詞といい、主に名詞や代名詞の後につきます。

では「をば」の「ば」にはどのような意味があるのかというと、前の名詞や代名詞を強調する働きがあります。

つまり前述の例文を普通の現代文に言い換えると

・失礼をいたします。

となります。

意味合い自体は変わらないのですが、「をば」を使うことでより印象に残る言い方になっていますよね。

では、そんな「をば」ですがどのような時に使われてきたのでしょうか。

古文には「をば」を使った文章がたくさんあります。

有名な古文で使い方を見てみましょう。

・あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れて

これは伊勢物語の一文です。

意味は「荒れ果てた蔵の奥に女性を押し込んで」ということです。

この文での「をば」は「~を」という意味で使われています。

他にも百人一首の一つにもあります。

・この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思えば

藤原道真が詠んだ有名な和歌として知られていますよね。

意味は「この世は私のためにあるようなもの。

満月のようにたりないものは何もない」ということです。

すごく自信満々の一句ですね。

意味は「~を」ですが、「この世」をかなり強調しているように感じますね。

さらに現代文である森鴎外の作品にも「をば」はよく見られます。

有名な「舞姫」は古文風の使い方がされており、冒頭文がこのように始まっています。

・石炭をば早や積み果てつ、中等室の卓のほとりはいと静かにて

となっています。

意味は「石炭を早く積み終わり、中等室の机は静かで」ということです。

この文での使い方としては、特に石炭を強調する意味合いはないものの、舞姫の物語をリズミカルにする上で重要な役割を担っているようです。

あい
このように「をば」は古文で多く使われてきた言葉で、「~を」という意味があり、前に書かれた名詞などを強調することもできます。
使い方や言い回し的に古文風ですが、現代文でも強調するという意味合いで使われることもあるようです。

「をば」の使い方を例文でご紹介!

をばの使い方

では「をば」の意味がわかったところで、例文から使い方を見てみましょう。

古文と現代文の両方をご紹介します。

まずは古文での使い方を見てみましょう。

・今は、ただ、品にもよらじ。容姿をばさらにも言わじ

これは源氏物語の一文です。

意味は「もう、ただ単に家柄にはこだわるまい。容姿は当然いうまでもない」ということです。

光源氏を含む4人が理想の女性について語り合うシーンを表した文で、「容姿にはこだわらない」ということを強調するような文になっています。

次の古文は万葉集にのっている歌です。

・ありつつも 君をば待たむ 打ち靡く わが黒髪に 霜の置くまでに

磐姫皇后が天皇を思い、詠んだ短歌で、意味は「このままこうしてあの方をお待ちしよう。豊かになびく私の黒髪が、霜が置かれるような白髪にかわるまで」ということです。

年を取るまで待ち続けるなんて、深い愛情を感じる歌ですね。

「君をば」というのは「あなたを」という気持ちを強調すると共に、短歌の五・七・五・七・七というリズムにきちんと合うようになっています。

このように「をば」の使い方は強調する意味合いで使うだけでなく、短歌ではリズムを合わせるために取り入れる使い方もあるようですね。

そのため、現代文でも短歌を読む際にはリズム合わせに取り入れる使い方もできそうです。

では森鴎外の舞姫も見てみましょう。

舞姫は古文というほど古くはなく、どちらかといえば現代文ですが、リズムを取るために古文風の「をば」がたくさん使われています。

いくつか例を挙げてみます。

・鍵をば入り口に住む靴屋の主人に預けて出でぬ

意味は「鍵を入り口の靴屋の主人に預けて出た」ということです。

他にも

・君を思ふ心の深き底をば今ぞ知りぬる

意味は「君を思う心の深さを今思い知った」ということです。

さらに

・帽をばいつの間にか失ひ

意味は「帽子をいつの間にか失くして」とうことです。

このように舞姫には「をば」がたくさん使われています。

さらに現代文での使い方も見てみましょう。

使い方としては「~を」と一緒です。

例文を挙げてみると

・ご説明をばさせていただきます。

意味は「説明をさせていただきます」ということです。

次の例文を挙げると

・ご連絡をばお待ちしております。

意味は「ご連絡をお待ちしております」ということです。

現代文では無理に使う必要はありませんが、古文風にいうと、なんとなく丁寧に言っているような気がしますね。

あい
このように「をば」は古文でよく使われていた言葉ですが、現代文としてもまだ使える言葉です。
特に短歌を読む際の文字数合わせにも使えあるので、リズムに困ったら、取り入れてみてはどうでしょう。

「をば」の意味は?古文だけでなく、現代文でも使える?その使い方は?まとめ

「をば」には「~を」という意味があり、前に書かれている名刺などを強調することができます。

万葉集や源氏物語など有名な古文にも使われていた言葉ですが、現代文でも利用可能です。

使い方としては「~を」という部分に置き換えたり、短歌でリズムを合わせる際にも便利です。

使い方も難しくないので、短歌が趣味の人は覚えておくといいでしょう。




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